
今日は、華やかなF1の世界の裏側にある、ちょっとダークな話題についてお話ししたいと思います。
F1を観戦していて「あれ?このチームのスポンサーロゴ、急に消えたな」って思ったことありませんか?実は、F1の長い歴史の中には、突然姿を消したり、実は詐欺まがいの企業だったり…そんな怪しいスポンサーが数多く存在してきたんですよ。
今回は、そんなF1界を震撼させた「怪しすぎる出資者たち」の歴史を、私の個人的な感想も交えながら詳しく解説していきますね。
F1スポンサーが怪しくなる理由とは?
まず最初に理解しておきたいのが、F1はとにかくお金がかかる世界だということです。
鈴木亜久里さんがかつて「1週間で2億円が消えていく世界」と表現されていましたが、本当にその通りなんです。
新規参入するだけで約50億円(2021年以降は約200億円!)の供託金が必要で、年間運営費は200億円とも言われています。
これだけのお金が必要になると、チームは必死でスポンサーを探すわけですね。
そこに、正体不明の「大金を出します!」という企業が現れたら…チーム側も飛びついてしまう。
そんな構図が、怪しいスポンサー問題の根底にあるんです。
私も長年F1を見てきて、「このスポンサー、聞いたことないな…」と思っていたら数ヶ月後には消えている、なんてことを何度も目撃してきました。
【事件1】マネートロン事件:秘密のドアの向こうは掃除用具入れだった
F1史上最も衝撃的だったのが、1989年のオニクス・グランプリを支えたマネートロン社の事件です。
スーパーコンピュータの正体は?
ベルギー人経済学者ジャン-ピエール・バン・ロッセムが率いるこの投資会社は、「株式市場や為替レートの変動を予測できるスーパーコンピュータが、オフィスの秘密のドアの奥にある」という触れ込みでF1界に登場しました。
白髪のロングヘアに長いあご髭という、いかにも怪しい風貌のバン・ロッセムがパドックに現れたとき、私が当時中継を見ていたら絶対に「え、この人大丈夫?」って思ったはずです(笑)
まさかの表彰台獲得
でも驚くべきことに、オニクスは実際に結果を出したんです!
- 第7戦フランスGP:ステファン・ヨハンソンが5位入賞
- 第13戦ポルトガルGP:ヨハンソンが3位表彰台!
新規参入チームが初年度に6ポイントを獲得するなんて、当時としては快挙だったんですよ。
衝撃の結末
しかし、1989年シーズン終了後、バン・ロッセムは逮捕されてしまいます。
マネートロンの実態は出資金詐欺だったんです。
そして、噂されていた「秘密のドア」の正体は…なんと掃除用具入れの扉だったという、笑うに笑えないオチでした。
このニュースを知ったとき、表彰台の喜びはいったい何だったんだろう…と複雑な気持ちになったのを今でも覚えています。
【事件2】リッチ・エナジー騒動:2019年のハースF1を襲った大混乱
F1ファンなら誰もが記憶に新しいのが、2019年のリッチ・エナジー騒動です。
私もリアルタイムでこの騒動を追っていましたが、まさにドラマを見ているようでした。
謎のエナジードリンク会社
リッチ・エナジーは2019年、ハースF1チームのタイトルスポンサーとなりました。
黒と金のカラーリングに変更されたマシンは、確かにカッコよかったんですが…
でも、誰もが疑問に思っていたんです。「このエナジードリンク、どこで売ってるの?」って。
実際、スーパーやコンビニで見かけることはほとんどなく、財務書類を見ると2017年の銀行残高はわずか581ポンド(約770円)だったという報道も。
本当にこの会社、大丈夫なの?という不安が常にありました。
ロゴ盗用問題
さらに追い打ちをかけたのが、イギリスの自転車メーカー「ホワイト・バイクス」からの訴訟です。
リッチ・エナジーのロゴ(鹿のデザイン)が、ホワイト・バイクスのロゴを盗用したものだと判明したんです。
裁判では、リッチ・エナジーのCEOウィリアム・ストーリーの証言が「信頼できない」と判断され、敗訴。
X(旧:Twitter)上の大暴走
そして極めつけが、2019年イギリスGP前の衝撃的なツイートでした。
リッチ・エナジーの公式アカウントが突然「ハースとの契約を解除する。理由はチームの成績不振」と発表したんです。
ストーリーCEOはハースのマシンを「ミルク配達車(milk float)」と侮辱。
さらに、両ハースマシンがリタイアした直後には、ストーリー本人を乗せたミルク配達車の合成画像を投稿するという暴挙に…。
リアルタイムでX(twitter)を見ていた私は、「え、公式アカウントがこれやっちゃう?」と目を疑いました。
社内クーデターと決着
しかし、これはストーリーCEOの独断専行だったことが判明。
株主たちは「これは一個人の異常な行為」との声明を発表し、ストーリーのCEO解任手続きを進めました。
結局、リッチ・エナジーは社名を「ライトニング・ボルト」に変更し、ストーリーは会社から追放。ハースとの契約も2019年シーズン途中で終了となりました。
この一連の騒動、本当にF1史上稀に見る茶番劇でしたね…。
【事件3】フットワーク事件:ポルシェエンジンの悪夢
日本企業が関わった事件として忘れてはいけないのが、フットワーク(旧アロウズ)の失敗です。
バブル期の夢
1990年、日本の運送会社フットワーク(旧日本運送)は、F1ブームとバブル景気に乗ってアロウズチームを買収。
1991年からチーム名を「フットワーク」に変更して参戦しました。
当時の日本は本当にF1フィーバーでしたからね。
私も子供ながらに、日本企業がチームを持つなんてすごい!と興奮した記憶があります。
ポルシェの詐欺的エンジン
しかし、フットワークが選んだポルシェ製V12エンジン「3512」が最悪だったんです。
- 重量190キロ(ライバルより数十キロ重い)
- パワーは数年落ちのフォードV8エンジン以下
- エンジンサイズが事前情報と違い、シャシー設計変更が必要に
開幕戦から予選落ちを連発し、第6戦モナコGPではエンジンの振動でマシンが走行中に分離してクラッシュという危険な事態まで発生。
第7戦からフォードエンジンに変更しましたが、時すでに遅し。1991年シーズンはノーポイントで終了しました。
本業を圧迫して破綻
3年間のF1参戦で会社の利益の多くをつぎ込んだ結果、本業の運送業が経営難に。
1993年限りでF1から撤退し、2001年には民事再生法適用(事実上の倒産)となってしまいました。
F1参戦が会社を潰してしまった…という悲しい結末です。
スポンサー詐欺とは違いますが、無謀な投資という意味では「怪しい出資」の典型例と言えるでしょう。
【事件4】ローラの悲劇:たった1戦で消滅したチーム
F1史上最速で撤退したのが、名門シャシーメーカーローラです。
1997年、単独チームとして参戦したローラでしたが、開幕戦オーストラリアGPの予選で2台とも107%ルール(トップタイムの107%以内に入らないと決勝に出られない)を通過できず、予選落ち。
メインスポンサーのマスターカード社がたった1戦で撤退を決めたため、資金の後ろ盾を失ったローラは参戦GP数わずか1戦で消滅しました。
決勝グリッドにすら立てずに終わった名門の悲劇…あまりにも切なすぎます。
【事件5】アンドレアモーダ:F1史上唯一の「追放処分」
1992年に参戦したアンドレアモーダは、F1史上唯一の「追放処分」を受けたチームとして悪名高い存在です。
開幕から問題続出
- 保証金未払いで開幕戦出場不許可
- 予備予選出走を渋る(経費削減のため)
- チームオーナーが公文書偽造で逮捕
F1から追放
ベルギーGP会場でオーナーのアンドレア・サセッティが逮捕されたことで、FIA(国際自動車連盟)は「F1の信用を失墜させた」として追放処分を下しました。
参戦わずか13戦での追放。
資金難で撤退するチームは多いですが、FIAから追放されたのは後にも先にもアンドレアモーダだけです。
【事件6】ケータハム・マルシャの連続破産劇
2014年シーズンは、小林可夢偉が所属していたケータハムF1とマルシャF1が相次いで経営破綻した悲劇の年でした。
ケータハムの「計画倒産」疑惑
ケータハムは2014年7月、「スイスと中東の投資家グループ」に売却されましたが、新オーナーの実態は不透明。10月には管財人の管理下に置かれ、アメリカGPとブラジルGPを欠場。
結局、2015年2月にチーム再建を断念し、資産が競売にかけられました。約200名のスタッフが職を失う結果に…。
可夢偉選手の活躍を期待していただけに、本当に残念でしたね。
マルシャも後を追うように破綻
マルシャも2014年10月に管財人管理下に入り、最終戦2戦を欠場。2015年には約200名のスタッフを解雇し、事実上の終焉を迎えました。
1年間で2チームが連続破産するなんて、F1の資金難の深刻さを思い知らされました。
なぜ怪しいスポンサーが後を絶たないのか?
長年F1を見てきて思うのは、F1とお金の問題は切っても切れないということです。
理由その1:莫大な運営コスト
前述の通り、F1チーム運営には年間200億円以上が必要です。
中堅チームにとって、この資金を正当な方法だけで集めるのは至難の業なんです。
理由その2:チーム側の審査甘さ
ハースのシュタイナー代表は「デューデリジェンス(企業調査)はちゃんとやった」と言っていましたが、リッチ・エナジー騒動を見る限り、審査が甘かったとしか思えません。
資金が欲しいチームと、知名度が欲しい怪しい企業。
この需要と供給が一致してしまうんですね。
理由その3:F1の宣伝効果
F1は世界中で放送され、何億人もの視聴者がいます。
正体不明の企業でも、F1スポンサーになれば一気に知名度が上がる。
これを悪用する詐欺師が後を絶たないわけです。
F1界は変わりつつあるのか?
予算上限制度の導入
2021年からF1には予算上限制度(コストキャップ)が導入されました。
これにより、チーム間の資金格差が縮小し、怪しいスポンサーに頼る必要性が減る…はずです。
より厳格な審査
リッチ・エナジー騒動以降、ハースは「今後はより注意深くタイトルスポンサーを選ぶ」と表明。他チームも同様の教訓を得たはずです。
それでもリスクは残る
しかし、F1が巨額のお金を必要とする限り、怪しいスポンサー問題は完全にはなくならないでしょう。
私たちファンにできることは、「突然現れた聞いたことのないスポンサー」に注目し、その動向を見守ることくらいかもしれません。
まとめ:F1の光と影
華やかに見えるF1の世界ですが、その裏側には資金難と怪しい出資者という暗い影が常につきまとっています。
- マネートロンの「掃除用具入れ事件」
- リッチ・エナジーのTwitter大暴走
- フットワークの会社破綻
- ローラの1戦消滅
- アンドレアモーダの追放処分
- ケータハム・マルシャの連続破産
これらの事件は、F1が「スポーツ」であると同時に「ビジネス」であり、そのビジネス面には時に危険が潜んでいることを教えてくれます。
でも、だからこそF1は面白いんですよね。マシン開発、ドライバーの技術、チーム戦略、そして資金繰り…すべてが勝敗を左右する、本当に奥深い世界なんです。
私はこれからも、F1の光と影の両面を見つめながら、このスポーツを応援し続けたいと思います。
皆さんも、次にF1を観戦するときは、マシンに貼られたスポンサーロゴに注目してみてください。
「この会社、聞いたことないな…」と思ったら、ちょっと調べてみると面白いかもしれませんよ!
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