
F1って、テレビで見ると「速い・派手・天才ドライバー」みたいな印象が強いじゃないですか。
でも、沼ってくると気づくんですけど、F1って実は “お金の配分ゲーム” でもあるんですよね。
「F1チームの年間予算って結局いくらなの?」
「レッドブルやメルセデスって何にそんなに使ってるの?」
「コストキャップ(予算上限)って聞くけど、どこまでが対象なの?」
こういう疑問に、できるだけ分かりやすく、そして僕の個人的な感想も入れつつ、F1チーム別のコスト構造をがっつり解説します。
まず結論:F1の「年間予算」は2階建てです
いきなり核心なんですけど、F1の予算は
- コストキャップ(予算上限)の“中”で使うお金
- コストキャップの“外”で使えるお金
この2つに分かれます。
ここを分けないと、ネットで見かける「F1は年間○〇億円!」みたいな話が、全部ごちゃ混ぜになって混乱するんですよ。
コストキャップとは?ざっくり言うと「速さに直結する支出の上限」
コストキャップ(Cost Cap)は、チームが1シーズンで使えるお金に上限を設けて、戦力差を縮めるための仕組みです。
金満チームが“物量で殴る”のを抑えて、アイデアと運用で勝てる余地を増やす、って方向性ですね。
この上限は年によってベース額が変わっていて、たとえば導入時(2021年)は 1億4500万ドル、その後 2022年は1億4000万ドル、2023年以降は1億3500万ドルがベース、という流れが公式に説明されています。
さらに、カレンダーの開催数などで増額される仕組みもあります(年によって“24戦だからちょい足し”みたいなイメージ)。
このあたりの説明はモタスポ系でも整理されてます。
あと最新の大きい動きとして、2026年はコストキャップが2億1500万ドルになるという話が出ています(新レギュレーション対応などを加味)。
※この数字はニュースや解説記事で触れられている一方、詳細はFIAのFinancial Regulations(PDF)側にまとまっていくタイプなので、最終的にはそちらが一次情報になります。
コストキャップの「対象外」もめちゃくちゃ大きい
「え、じゃあ上限の中で全部やりくりするんじゃないの?」って思うじゃないですか。
でも実際は、わざと対象外にしている支出がいくつもあるんです。
代表例としてよく挙がるのはこのへん:
- ドライバーの給料(対象外)
- チーム内の高額報酬上位3名の給料(対象外)
- マーケティング費用やホスピタリティ(対象外)
- 遠征・移動(トラベル)関連(対象外として扱われるものがある)
- 建物・設備など資産系(キャピタル支出)(別枠で扱われることが多い)
この「何が対象外か」は、公式の解説記事の中でもかなりはっきり書かれています。
つまり何が起きるかというと、一般的な感覚の「年間予算=上限の金額」にはならないんですよ。
体感的には、“速さに直結する財布”がコストキャップで、“大人の事情と商売の財布”が対象外って感じです。
F1チームのコスト構造:だいたいこの6箱に分けると一気に理解できます
僕がF1の支出を理解しやすくするために、いつも頭の中で箱分けしてるのがこれです。
- 人件費
- 空力開発(風洞・CFD)
- 設計・製造(新パーツの設計~量産)
- レース運営(現場のオペレーション)
- 物流(世界転戦の輸送)
- クラッシュ対応(壊した分の作り直し)
で、面白いのがここからで、チームによって“重い箱”が違うんですよ。
同じ上限の中で戦ってても、チームの得意分野や組織のクセが出ます。
コストキャップ内で特に重いのは「人・空力・製造」です
ここは多くの解説がそうなんですが、コストキャップが本気で効いてくるのは
- 人(エンジニアや製造の人員)
- 空力開発
- 新パーツの製造と検証
この3つです。
個人的な感想を言うと、F1って「カーボンパーツが高い」もあるんですけど、結局いちばん高いのは “優秀な人の時間” なんですよね。
速いアウトプットが出る人材ほど高い。しかもF1って人の数も多い。結果、人件費がドーンと効きます。
空力(ATR)とコストキャップの関係
「空力開発=風洞」ってイメージありますよね。
今のF1はここにさらに ATR(Aerodynamic Testing Restrictions:空力テスト制限) が絡みます。
しかもATRは全チーム同じ制限じゃなくて、成績に応じてテスト量が変わる(下位ほど多い)という思想です。
公式でもこの“スライディングスケール”が説明されています。
ここ、私はめちゃくちゃ好きで。
なぜなら「金だけじゃなく、テスト時間という資源も配られる」からなんですよ。
F1は完全に経営ゲームとも言えるでしょう。
物流コスト:F1は「世界最強の引っ越し屋」でもある
F1って、世界中を転戦するので物流がえぐいです。しかも24戦とかになると、ほぼ常に引っ越し。
物流についてはDHLがグローバル物流パートナーとして関わっている話が公式・DHL側でも出ています。
物流費の推計や規模感について触れている記事もあって、たとえば「チームが年間で運ぶ貨物量は約50トン、コストは800万ドル超になりうる」といった話が出ます。
ここは個人的に「速さ」より「運ぶ才能」の世界だなって思ってます。
しかも、コストキャップ時代になると「輸送をどう効率化するか」まで戦略になるので、地味なんだけど重要度が上がってる分野だと思います。
クラッシュコスト:壊すと“開発が止まる”のがコストキャップ時代の怖さ
F1ってクラッシュしたら「修理代がかかる」で終わりじゃないんですよね。
コストキャップ時代だと、もっと残酷で、
- 壊した分を作り直す → 製造枠・工数・予算が食われる
- その結果、本来入れたかったアップデートが遅れる/消える
みたいな“二段ダメージ”が起きます。
これ、観戦側は「もったいねー!」で済むんですけど、チーム側は本当に胃が痛いはずです。
特に中団~下位は、1回の大クラッシュでシーズンの開発計画がズレることがあり得るので、戦略としても超重要です。
チーム別の「コスト構造の差」はどこで出る?(個人的な所見)
ここからが本題の“チーム別”なんですけど、正直、外から完全な内訳は見えません。
ただ、構造として「差が出やすいポイント」はあります。
1) 開発アップデートの回転速度(当たりを引くまで回せるか)
上位チームは、よく「開発が当たる」って言われるんですが、私は半分違うと思ってます。
正確には “当たりを引くまで回す仕組みが強い” んですよね。
その仕組みを回すために必要なのが、設計・製造・検証の体制=つまり予算配分です。
ここで「人件費」と「製造コスト」が効いてくる。
2) 組織の意思決定コスト(大きいほど重くなる)
大規模組織は武器も多いんですけど、調整が増えると“遅さ”が発生します。
コストキャップ下だと、遅いだけでなく「ムダな試作」みたいなコストも痛い。
ここはメルセデス級の大所帯が、どう最適化していくか見てると面白いです(外野の勝手な楽しみですけど)。
3) 何を外注して、何を内製するか
これも財布に直結します。
内製は固定費が重くなりがち、外注は単価が重くなりがち。
どっちが良い悪いじゃなく、チームの哲学が出るところです。
よくある疑問:「ドライバーの年俸って上限に入るの?」
結論:一般に、ドライバー給与はコストキャップ対象外として説明されています。
ここ、初見の人がいちばん驚くところかもしれません。
「そこ入れないんだ!」って。
でも個人的には、分からなくもないんです。
ドライバーって“興行の顔”でもあるので、純粋な車両開発費とは別枠にしないと、ビジネスが歪むんですよね。
組み込んでしまうと最高額サラリーのマックス・フェルスタッペンチームが入ると、開発が滞るという事になりえたり、チャンピオンのチームは2年目以降勝てなくなるなんて話になっちゃいます。
じゃあ結局、F1チームの年間予算はいくら?(現実的な答え)
ここは言い切りすぎると危ないので、現実的にまとめます。
- 「コストキャップ対象の予算」は、規定のベース(例:1億3500万ドルなど)+調整分の範囲で、多くのチームが上限近くを狙う
- ただし 対象外支出(ドライバー給与、上位幹部給与、マーケ・ホスピタリティ、移動費など)があるので、
“チーム全体の総支出”はそれより大きくなりがち。
つまりこの記事の答えとしては、
「年間予算=コストキャップの数字」ではない、これがいちばん大事です。
僕の感想としては、コストキャップがあることでF1が“健全化した”というより、
むしろ、同じ上限の中で、各チームがめちゃくちゃ苦しい顔で最適化してる感じがして、そこが面白いです。
速さって「良いアイデア」だけじゃなくて「継続的に回せる運用」なので、経営の勝負になってるんですよね。
まとめ:F1は「速いマシン」だけじゃなく「予算配分の設計」で差がつきます
最後に要点をまとめます。
- F1の予算は コストキャップ内と対象外で分けて考えるのが必須
- 対象外には、ドライバー給与・上位3名給与・マーケ等が含まれると解説されている
- コストキャップの歴史(2021: 1億4500万ドル → 2022: 1億4000万ドル → 2023以降ベース1億3500万ドル)は公式が整理している
- 空力はATR(成績連動のテスト制限)まで含めて“資源配分ゲーム”になってる
- 物流やクラッシュは、地味だけど開発計画を壊す“効きの強いコスト”になりやすい
最後にF1チーム別 予算ランキングTOP10(推定:2025年度)
※単位:USD(百万ドル)/ 年
※「推定の考え方」:コストキャップの実質上限が“約1.7億ドル規模”と語られることがある(ベース1.35億+調整)点を踏まえつつ、対象外支出を上乗せした総額レンジで整理しています。
チーム別予算ランキング(ここを押すと表示/非表示になります)
| 順位 | チーム | 推定年間予算(総額) | ざっくり根拠メモ(何が効く?) |
|---|---|---|---|
| 1 | Ferrari | $300–$350M | 伝統的に規模が大きく、対象外(マーケ/ホスピタリティ等)も厚くなりやすい枠 |
| 2 | Mercedes | $290–$340M | 大所帯+開発体制が大きいイメージ。上限内は当然フルに使う前提 |
| 3 | Red Bull Racing | $280–$330M | 開発回転の速さ=製造・検証の密度が出やすい(対象外も含め総額は大きめ) |
| 4 | McLaren | $250–$310M | 近年は設備投資・体制強化の文脈で語られやすく、上限外も含めると大きい側 |
| 5 | Aston Martin | $240–$300M | 体制強化・施設拡充の印象が強く、総額レンジは上位寄りになりがち |
| 6 | Alpine | $220–$280M | ワークス色がありつつ、上位ほどの“対象外の厚み”はチームによって差 |
| 7 | Williams | $190–$240M | コストキャップで開発差は縮むが、対象外投資や人員の厚みは上位ほど出にくい |
| 8 | Sauber | $180–$240M | 変革期(将来計画含む)で上下しやすいゾーン。総額は中位〜下位レンジ |
| 9 | Racing Bulls | $170–$220M | 上限内中心+必要分の対象外。総額は下位〜中位の範囲になりやすい |
| 10 | Haas | $150–$200M | 比較的コンパクトに回すチームとして語られやすい(総額は抑えめ想定) |
補足:この表の見方
同じ「予算」と言っても、F1はコストキャップの“対象内”と“対象外”が混ざるので、推定レンジが広くなります。
対象外の代表例(ドライバー給与、上位3名給与、マーケ等)は解説記事でも明記されています。