オースティンに響いた雄叫び
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で繰り広げられた2025年F1第19戦アメリカグランプリ。
テキサスの青空の下、今季最もドラマチックな週末になりました。
マックス・フェルスタッペンにとって、これは完璧な週末でした。スプリント予選、スプリントレース、公式予選、そして決勝レース――彼はすべてのセッションで頂点に立ちました。

スプリントの悪夢:マクラーレンの黒歴史
土曜日のスプリントレースは、まさかの幕を開けでした。
オープニングラップのターン1で、マクラーレンの2台が絡む多重クラッシュが発生。
オスカー・ピアストリとランド・ノリスがダブルリタイアという悪夢に見舞われた。
ピアストリがインからオーバーテイクを試みた瞬間、そこにはすでにニコ・ヒュルケンベルグとフェルナンド・アロンソが迫っていた。
接触は避けられず、わずか1周でチャンピオンシップを争う両雄がレースを終えることになった。
コース上に散乱した大量のデブリは、この衝撃の大きさを物語っていた。
個人的には、この瞬間にシーズンの流れが大きく変わったと感じてます。
ピアストリの判断は果敢でしたが、リスクとリターンのバランスを欠いていたように思います。
チームメイト同士の接触は、マクラーレンにとって最も避けたいシナリオだった事でしょう。
決勝:フェルスタッペンの独壇場
日曜日の決勝レースはポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、一度もトップを譲ることなく56周を走り切りました!
これぞポール・トゥ・ウィン――F1における最も美しい勝利の形といえるでしょう。
興味深かったのは2位争い!ノリスとシャルル・ルクレール(フェラーリ)が繰り広げた白熱のバトルは、レース中盤から終盤にかけて観る者を魅了した。最終的にノリスが2位を守り切ったが、ルクレールの執拗な追い上げは素晴らしかったです。
ルイス・ハミルトンが4位、ピアストリは5位。ピアストにとって、スプリントでの0ポイントと本戦の結果は、タイトル争いの上では痛恨の週末となった事でしょう。
角田裕毅の快走:日本人の誇り
角田裕毅については特筆すべきだろう。スプリントで18番手から7位入賞、そして決勝でも7位でフィニッシュ。2日連続で6ポイントずつ、計12ポイントをレッドブルにもたらした彼の走りは、まさに「攻めの姿勢」そのもの。
特にスタート直後の追い上げは圧巻だった。混乱の隙を突いて一気にポジションを上げる判断力と実行力は、ベテランドライバーの域に達していると言えるでしょう。
レッドブルがこの週末で全チーム最多の31ポイントを獲得できたのは、フェルスタッペンの完璧な走りと、角田の堅実な得点力の賜物と言えるでしょう。
チャンピオンシップ争いの新たな局面
この結果により、ドライバーズチャンピオンシップは三つ巴の様相を呈してきた。
ドライバーズ選手権(第19戦終了時点)
- 1位:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)346ポイント
- 2位:ランド・ノリス(マクラーレン)332ポイント(-14)
- 3位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル)306ポイント(-40)
ピアストリのリードは14ポイントにまで縮まった。フェルスタッペンも40ポイント差と、まだ十分に射程圏内だ。残りのレースを考えれば、誰がタイトルを獲得してもおかしくないでしょう。
コンストラクターズ選手権では、レッドブルがフェラーリとの差をわずか3ポイント、メルセデスとも7ポイント差にまで詰めた。2位争いは混沌とした状況。
アメリカグランプリ終了後の優勝回数は、ピアストリ7回に対して、ノリスとマックスが5回ずつととうとうマックスが、ノリスと並びました。マックスはサマーブレイク後だけで見れば圧倒的なポイントリーダー。終盤に差し掛かったにもかかわらず、これからの動向は見逃せません。
個人的見解:フェルスタッペンの凄みと残りの戦い
フェルスタッペンのこの週末を見て、改めて彼の強さを実感しました。プレッシャーがかかる状況で、彼は常に最高のパフォーマンスを発揮する。それが真のチャンピオンの資質だろう。
一方で、マクラーレンのスプリントでのミスは痛かった。特にピアストリにとって、あの判断が後にシーズンを左右する分岐点だったと振り返ることになるかもしれない。ノリスとのチーム内競争も激化しており、今後のチームオーダーやパパイヤルールがどう影響するかが鍵になるだろう。
個人的に注目しているのは、ずばり残りのレースでレッドブルがこの勢いを維持できるかです。角田の安定した得点力は予想以上で、彼がチームの重要な戦力になっている。日本人ドライバーがトップチームでこれほど貢献している姿を見られるのは、ファンとして誇らしいです。
まとめ:テキサスで見た新たな物語
2025年アメリカGPは、チャンピオンシップ争いに新たな風を吹き込んだ。フェルスタッペンの完璧な週末、マクラーレンの悪夢、そして角田の輝き。すべてが絡み合い、残りのシーズンをさらにエキサイティングなものにしている。
次戦以降、ピアストリとノリスがどう反撃するのか、フェルスタッペンがこの勢いを保てるのか――目が離せない展開が続く。
テキサスの空の下で繰り広げられたドラマは、私たちにF1の醍醐味を思い出させてくれた。スピード、技術、戦略、そして人間ドラマ。それらすべてが詰まった素晴らしい週末でした。
次戦はどこで何が起こるのか。F1は止まらない。