「シムってさ、結局ゲームでしょ?」
昔は私も、どこかでそう思ってました。
正直に言うと、ハンコン(ステアリングコントローラー)を机に固定してドヤってる友人を見て「沼、入ってんなあ」くらいのテンションだったんです。
でも、いまは空気が完全に変わりました。
というか、「変わったのは“シム側」じゃなくて「現実のレース側」なんですよね。
気づけば、現役トップカテゴリのドライバーたちが、夜な夜なシムリグに座って走ってる。
しかも「暇つぶし」じゃなく、けっこう切実な理由で。
今日はその理由を、私自身の体験(シム沼に片足突っ込んだ話)も混ぜつつ、分かりやすく言語化してみます。
※この記事は「eスポーツ」みたいな広い話より、F1×シムの「実務」に寄せていきます。
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いきなり結論なんですが、今のシムは「ゲーム」ではなく、現役レーサーの“練習環境の一部”として成立しちゃってます。
ここで大事なのが、「シムで速い=実車で速い」みたいな単純な話じゃないこと。
本質は、“速さそのもの”より、速さを作る手順にあります。
- ブレーキをどこで、どれだけ抜くか
- クリップまでの持っていき方
- タイヤの温度・路面の変化をどう想像するか
- 1周の中で「失う時間」を最小化する判断
このへんって、身体感覚は違っても頭の使い方がほぼ同じなんですよね。
現役F1ドライバーが「夜」に走る理由がリアルすぎる
ここ、個人的にいちばん刺さったポイントです。
なぜ夜なのか。理由はロマンじゃなくて、わりと現実的です。
1) 移動とメディア対応で「日中が消える」
F1の週末って、走ってない時間も仕事が詰まりすぎてます。
スポンサー撮影、取材、チームミーティング、フィジカルトレ、移動…で、気づくと1日終わる。
だから「自分の意思で運転できる時間」が残るのが夜。
これ、社会人が筋トレを夜にやるのと同じ構造です。
時間がそこしかない。
2) コースの“予習”が、紙のノートから「走って覚える」に
昔からドライバーはオンボード見たり、コース図に書き込んだりしてました。
でも今は、シムで走って脳に焼くほうが早い。
私も仕事で初めて行く場所、地図を眺めるより一回歩いたほうが覚えるタイプなんですが、まさにあれです。
シムだと「次のコーナーが来る圧」を体感で覚えられるんですよね。
3) レースは「感覚」だけじゃなく「再現性」の勝負になった
ここがいまのモータースポーツの怖いところで、トップ同士の差って、気合や才能というより“再現性の精度”になってきてます。
- 同じ条件で同じ操作をできるか
- 微妙に条件がズレたときに、崩れないか
- 想定外が出たときに、戻し方を知ってるか
シムはこの「崩れない手順」を作るのに向いてるんですよね。
私の体験談:シムを「舐めてた側」ほど、刺さり方がエグい
私も一時期、興味本位でシムを触りました。
最初は軽い気持ちで「まぁ、ゲームでしょ」と。
で、最初の数周で思いました。
これ、運転じゃなくて“運転の反省会”がメインコンテンツだって。
例えば、同じコーナーを3回ミスるとするじゃないですか。
ゲームなら「くそー!」で終わるんですが、シムだとログや感覚で原因が分かってくる。
- 進入の姿勢が間に合ってない
- ブレーキ抜くのが早い(または遅い)
- そもそもラインが欲張りすぎ
で、直して走る。
直らない。
もう一回直す。
これ、完全に練習なんですよ。しかも、めちゃくちゃ疲れる。
私の場合、走行後に手がじんわり痛くなって「あ、これ“遊び”って呼ぶの失礼だな」ってなりました。
集中力の消費がスポーツ寄りなんです。
現役の考え方に寄せる:シムが上達に効く練習メニュー(実体験ベース)
私が遠回りして学んだのは、シムって「周回数」よりも練習の切り方が重要だということです。
1) 1周全部を頑張らない(セクター練習)
全部を一気に良くしようとすると、どこが良くなったか分からなくなります。
だから「この2コーナーだけ」みたいに切る。地味だけど効きます。
2) ブレーキだけ意識する周回を作る
タイムは落ちます。
でも、結果的に伸びます。
「ブレーキ開始」「抜き」「リリースの速さ」だけを見る周回って、フォーム作りに近い。
3) リプレイより先に“言語化”
これ、私の失敗談なんですが、リプレイ見まくると「分かった気」になって走りが変わらないことがあるんです。
走った直後に、まず一言でいいからメモすると変わります。
- 「進入で待ててない」
- 「欲張って立ち上がり死んでる」
- 「ブレーキ残しすぎ」
言語化すると、次の1周で試せるんですよね。
じゃあ「シムは実車と違う」問題はどうする?
もちろん違います。
Gがないし、怖さも違うし、壊したときの現実感も違う。
でも、私が思うに、シムの価値って「実車の代わり」じゃなくて、
実車でしか学べないこと以外を、先に終わらせるところにあるんですよ。
このへんを事前に詰められるだけで、実車の時間が濃くなる。
現役が夜に走る理由って、ここに集約される気がします。
まとめ:「遊び」じゃない。でも“楽しい”のが厄介
「シムは遊びじゃない」って言うと、ストイックで硬い話に聞こえるんですが、
いちばん厄介なのはここです。
ちゃんと練習なのに、普通に楽しい。
だから夜にやっちゃう。
気づいたらハンドル握ってる。
現役ドライバーが夜な夜な走るのも、
「仕事だから」だけじゃなくて、たぶんこの“厄介さ”込みなんだろうなと思ってます。
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F1用語豆知識
ダーティサイド
スタート位置のうち、普段マシンが走らない側の路面です。
砂やタイヤのカスが溜まっており、蹴り出しのグリップが弱いため、偶数順位(または奇数順位)のドライバーにとって不利なスタート条件となります。