
スーパーフォーミュラーとF2、一体「どちらがF1に近いの?」を、できるだけ“肌感”で分かるように掘り下げていきます。
数字の比較だけだと答えが出ないので、観戦していて感じる「現場の空気」みたいな話も混ぜますね。
マシン性能の違い:速さの方向性がそもそも違う
FIA F2:F1の“法則”に慣れるマシン
F2はワンメイクで、F1のグランプリ週末に帯同して走ること自体が最大の価値だと思っています。
現地観戦していると、F2は「F1と同じ舞台で、同じ空気を吸って走る」感じが強いです。
マシンスペックとしては、3.4L V6シングルターボで約620hpと明確に公表されています。
体感としては、ドライバーの差が“予選一発”に出やすい印象です。
僅差の世界で「ミスったら終わり」の張り詰めた感じが、いかにも“F1直前”という雰囲気なんですよね。
また、F1と同様にタイヤがピレリなのも地味に大きいです。
現代F1は「タイヤマネジメント選手権」と言っても過言ではなくて、F2はF1と同じ扱いの難しいタイヤを使うため、F1チームはF2のデータを重視します。
SFで勝っても「ピレリタイヤをマネジメントできるのか?」という疑問符は残ります。
スーパーフォーミュラ:走りは最速級、しかも実戦の濃度が高い
スーパーフォーミュラ(SF)は「速さの密度」がすごいです。
正直、初めて生で見たとき「え、これF1じゃないのにこんな速いの?」ってなりました。
例えばSF23は2.0L直4ターボで“550bhp級”+オーバーテイク用のPush-to-Pass(追加出力)も前提の思想です。
また、シリーズ自体も「F1に次ぐ速さ」と説明されることが多いです。
SFはブレーキングから向き変え、立ち上がりまでがとにかく速い。
見ていて「タイヤの一瞬のグリップ変化」をドライバーが身体でねじ伏せている感じがあって、ここは完全に“職人芸”です。
ダウンフォースが強烈で車体も軽い。
「コーナリングスピードだけならF1より速い」と言われることもあります。
F1マシンのG(重力加速度)に身体を慣らすなら、SFのほうが断然ハードです。
週末フォーマット比較:育つ能力が変わる
F2:金曜に「練習→予選」、土日で「スプリント&フィーチャー」
F2は金曜に45分のフリー走行+30分予選、土曜にスプリント、日曜にフィーチャーという“教科書みたいな”構成です。
これ、ドライバー目線だと「短い時間で情報処理して、すぐ結果を出す」訓練になるはずで、まさにF1の週末運用に直結します。
SF:予選がノックアウトで、週末によってはダブルヘッダー
SFは予選の“勝ち上がり”要素が強く、週末の組み方もイベントによって変化があり、適応力が要る印象です。
観戦している側でも「今日の流れ、どうなる?」が読み切れない日があって、その不確実性が面白いんですよね。
ドライバー的にも“その場で最適解を作る能力”が鍛えられそうです。
戦いの質の違い
F2はワンメイク(全員同じ道具)でのイコールコンディションが売りだが、機体差(エンジンの当たり外れ)が囁かれることもあります。
SFはチーム力、エンジニアのセットアップ能力、そしてメーカー(トヨタ・ホンダ)の威信がかかっています。
純粋な若手の競り合いならF2、チームを含めた総合力のぶつかり合いならSFだといえるでしょう。
そもそもの戦いの本質が違います。
F1に必要な“免許”=スーパーライセンスポイントはどっちが有利?
実はF1に乗るための免許証「スーパーライセンス」を取得するためのポイント配分が違います。
ここはかなり現実的な論点です。
- F2は上位(特にトップ3)で無条件で40ポイント(ライセンス発給要件)
- SFも2025年から配点が増え、優勝で30点(F2のように一撃40点満額ではないが、かなり現実的な加点源)
つまり、SF王者になっても、過去の実績と足し算しないとF1には乗れません。
FIA(国際自動車連盟)が意図的に「F2を最上位」に置いている政治的な序列といえるでしょう。
私の感想としては、「F2は“正規ルートの強さ”、SFは“逆転ルートの現実味”」って感じです。
F2で上位に入れなかったけど速さはある、というタイプがSFで評価を取り戻す…みたいなストーリーが成立しやすいとも言えます。
実例:F1に繋がったルートの“説得力
その差は「9:1」と言ってもいいくらい、F2が圧倒的な「王道(ロイヤルロード)」です。
なぜSF(スーパーフォーミュラ)がこれほど速いのに、F1への近道ではないのか? その決定的理由を解説します。
F2 → F1 は王道の太い道
F2は実際にF1勝者級が通っているのが強いです。ルクレール、ラッセル、ノリス、ピアストリなど、F2で磨いて上がった流れが語られています。
「目の前」で走らないと意味がない(可視性の問題)
これが最大の理由だと私は考えてます。
例えば、F2の場合 F1と同じ週末、同じサーキットで開催されます。
トト・ヴォルフやアンドレア・ステラのようチーム代表などが、ピットウォールから直接レースを見ています。
「モナコでポールポジションを獲った」という事実が、その日のランチタイムにはF1村の話題になったりします。
これが、SFの場合基本的に日本国内開催です。
いくら鈴鹿で神がかった走りをしても、時差のあるヨーロッパのボスたちが生中継を見ている確率は低い。
「アウト・オブ・サイト、アウト・オブ・マインド(去る者日々に疎し)」なのです。
「ピレリタイヤ」という共通言語
先ほども触れましたが、F1チームが知りたいのは「速さ」だけではありません。
「ピレリタイヤをどこまで管理できるか?」です。
SFのヨコハマタイヤで速くても、「でも、ピレリ履かせたらすぐダメにするんでしょ?」という疑念は晴れません。
F2でタイヤマネジメントを証明するほうが、チーム代表を説得しやすいのです。
なぜ「SFルート」が存在するのか?
SFは人数は多くないけど、刺さったときのインパクトが大きい印象です。
「レッドブルの修行場」としての利用
ピエール・ガスリーやリアム・ローソンのように、「F2は卒業したが、F1のシートが空くまで待たなければいけない場合。その間、日本で速い車に揉まれてくる」というパターン。
これは彼らがすでにF1チームの育成契約下にあるから成立したと言えるでしょう。
F2で走る資金が無い。
F2に乗るには年間数億円(3〜4億円とも言われる)の持参金が必要なんです。
反面SFはプロカテゴリーなので、才能があれば給料をもらって走る事が可能です。
「実力はあるがお金がない」ドライバーが、奇跡の一発逆転を狙って日本に来るケースなんかがあります。
| 項目 | F2 | スーパーフォーミュラ (SF) |
| 立ち位置 | F1直下の育成カテゴリー | アジア最高峰のプロカテゴリー |
| マシンの速さ | F1よりかなり遅い(重い) | F1に肉薄する速さ(特にコーナリング) |
| タイヤ | ピレリ(F1と同じ特性・高劣化) | ヨコハマ(グリップ重視・特性が違う) |
| エンジン | ワンメイク(メカクローム製) | トヨタ vs ホンダ(メーカー開発競争あり) |
| ドライバー | 経験の浅い若手 | 熟練のプロ + F1を狙う超エリート |
“最短距離”なのは結局どっち?
- 「F1に行きたい」なら、基本はF2が最短距離です。
F1週末帯同、パドックの視線、評価のされ方が“最初からF1仕様”です。
F2は、F1の作法とタイヤ管理を学ぶための「教習所」と言えるでしょう。 - 「実力を鍛えて、別ルートでもこじ開けたい」なら、スーパーフォーミュラ。
速さ・実戦の濃さ・適応力が一気に問われて、ハマれば評価が跳ねます。
SFは、F1マシンをねじ伏せるフィジカルと純粋な速さを証明する「道場」とでも言う所でしょうか。
プロレスラーがメキシコに武者修行に行くような感覚に近いかもしれませんね。
そして、観戦者としての本音を言うと、SFは現地で見ると“衝撃”が大きいです。
音、速度域、ドライバーの忙しさがダイレクトで伝わってきます。
「このシリーズ、もっと知られていいのに」と毎回思います。